あなたはロジカルシンキングを学んだことがありますね。では「フレームワークとは?」と聞かれたら、どのようなことをイメージし、どのように説明しますか?

あなたが既に何回か聞いたことがあるという場合には、“マーケティングの4P”だとか、“戦略立案の3C”、“SWOT分析”といった、いわゆるビジネス・フレームワークを思い起されるのではないでしょうか。

どうやら、多くの人は、「フレームワーク」と言えば「ビジネス・フレームワーク」のことを指していると思っておられるようで、時にはこれらのフレームワークの幾つかを覚えている人もいます。確かに「ビジネス・フレームワーク」は、勿論、立派なフレームワークであり、目的によっては役に立ちますので、いろいろな「ビジネス・フレームワーク」を知っていても損ではないでしょう。

しかし、多くのビジネス・パーソンにとっては、実務の場面で「ビジネス・フレームワーク」など、そう頻繁に使うものではありませんので、必要な時に調べて使うことができれば充分なのです。

それより、いつも必要に応じて、適切な「フレームワーク」をゼロから作ることができることの方が格段に役に立つということをご存知でしたでしょうか。ロジカルシンキングが使えるようになると、「フレームワーク」というものについて正しく理解できるようになり、様々な問題解決に役立てることができるようになります。

この記事では、「ロジカルシンキング」(論理的思考)で言うところの「フレームワークとは」どのようなものか、「フレームワーク」を作成すること、「フレームワーク思考」に関すること、「フレームワーク」を問題解決に活用すること等についてご紹介して参ります。

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1. 自分で作成できなくては困るフレームワークとは?

あなたはフレームワークを自分で作成したことがありますか?

あなたが、いわゆるルーチンワーク(定常業務)とは言えない、非定常業務(状況に応じた新たな課題解決、一般的に言えば問題解決)に取組む役割を担っているならば、「自分でフレームワークを作成できなくてはマズいぞ」とお考えいただきたいと思います。

1)ロジカルシンキングにおけるフレームワークとは

そもそも「フレームワーク(日本語:枠組み)」とは一体何でしょうか。辞書を引けば、建築用語でもありますが、枠組みとは「物事のあらまし、大筋、アウトライン」と書かれています。ロジカルシンキングでは、物事を等価の関係(同等・イコールの関係)を保ちつつ、目的に応じて複数の枠組みに分割して、わかりやすく表現したものをフレームワークと呼びます。

具体的な例を見ながら、理解してみましょう。

例えば、「東京エリアから大阪エリアへの移動手段について、どのような手段があるかすべての可能性を検討してみよう」というような時に、まず、1つの大枠的な分割例として
2地点間の移動手段

  • 陸路の移動手段
  • 海路の移動手段
  • 空路の移動手段

などと分けて考えますね。

これを、いきなり「徒歩、自動車、電車、自転車・・・」と具体的な手段を次々と挙げて行くだけでは、全体が見えなくなってしまいますね。

ここに登場した、「2地点間の移動手段=陸路・海路・空路の移動手段」という具合に、等価の関係(イコールの関係)を保ちながら、陸路、海路、空路といった複数の枠組みに分割したものを、「2地点間の移動手段に関するフレームワーク」と呼ぶわけです。

もう1つ、具体的な例を見て確認してみましょう。

例えば、「1年間の行事について計画を立てる」ためには、漠然と思いつく行事を挙げるのではなく、大きく
1年間の行事

  • 上期の行事
  • 下期の行事

と2つに分割して検討する場合もあるでしょう。

あるいは、

  • 春の行事
  • 夏の行事
  • 秋の行事
  • 冬の行事

という分割を考えるかもしれませんね。

もっと細かく、月単位で分割して検討する場合もあります。

  • 1月の行事
  • 2月の行事
  • 3月の行事
  • ・・・
  • 12月の行事

すると、これらの「上期・下期の行事」、「春・夏・秋・冬の行事」、「1月・2月・3月・・・12月の行事」は、「1年間の行事」とそれぞれ等価の関係(イコールの関係)を保ちながら作成した「1年間の行事について計画を検討するためのフレームワーク」ということになります。

これで「フレームワーク」というものが、どのようなものであるか、ご理解いただけたと思います。

2)フレームワークは問題・課題の検討に際してゼロから作成するもの

このように、「2地点間の移動手段」、「1年間の行事計画」といった課題の検討に際して、どのようなフレームワークを作成したら、考え易いか、あるいは分かりやすい結果が得られるかといった判断に基づいて、通常はゼロから作成するものです。

何故、ゼロから作成することになるかと言いますと、実務課題は無数にあり、その課題と取組む際の状況は常に同じとは限りませんので、いつも目的に合わせてゼロから作成せざるを得ないのです。

フレームワークの作成方法については、こちらをご覧ください。→論理ツリーへの展開|論理思考テキスト講座|ロジカルシンキング研修.com
フレームワークを作成すると役に立つことが沢山ありますが、それは別の機会にご紹介したいと思います。

2. フレームワークが作成できなければ問題解決に取組めない

ロジカルシンキングには「人にわかりやすく伝えること」および「問題解決」という、2つの大きな役割があります。

この記事では、「問題解決」に関して言及していますが、ロジカルシンキングを学習しても、実務の場面で「問題解決」の第1歩を踏み出すには、問題の状況に応じたフレームワークを作成できなければ始まりません。そのように断言できるくらいフレームワーク作成は問題解決にとって重要なステップとなります。

たとえば、あなたの開発した「ある商品が計画通りに売れない」といった場合には、まず、その原因を明らかにしますね。その際には、ある商品が計画通りに売れない」原因に関するフレームワーク(複数の枠組みに分割して、わかりやすく表現したもの)を作成して、最終的にはすべての原因として挙げられるものを漏らさずに視野に入れて、原因を探るでしょう。

どのような進め方をするにしても、すべての原因を挙げて、具体的な事柄の1つ1つを確認して行くといったことが、どうしても必要になって参ります。

仮に経験や勘で原因を特定できたとしても、すべての原因の可能性を排除できている保証がありませんので、他の原因の存在が不明なまま次に進むことになってしまいます。何かしら原因の可能性があるものを落とす恐れがあります。

このすべての原因を挙げるという作業は適切なフレームワークを作成して検討する以外の方法がありませんので、フレームワークが作成できない限り終えることができません。

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3. ロジカルシンキングではフレームワーク思考によって問題解決する

では、あなたの開発した「ある商品が計画通りに売れない」ので、何とか計画通りに売れるようにするといった問題解決にフレームワークがどのような役割を果たすのか、考えてみましょう。

1)原因を明らかにする

「ある商品が計画通りに売れない」原因に関するフレームワークを作成します。

1例ですが、まずは、ある商品が計画通りに売れない、その原因は

  • 計画が過大だった
  • 計画は過大ではなかった

といった、ここでは2つの枠組みから成るフレームワークを作成して、「どうなんだ?」と考えるでしょう。

原因は必ず、この2つの枠組み「計画が過大だった・計画は過大ではなかった」のいずれかに含まれています。そこで、例えば、市場規模を調べて、「計画は過大ではなかった」と判断できたなら、今度は、「計画は過大ではなかったが、ある商品が計画通りに売れない」原因に関するフレームワークを作成します。

例えば、「計画は過大ではなかったが、ある商品が計画通りに売れない」のは

  • 製品に原因がある
  • 製品以外に原因がある

といったフレームワークを作成して、「もしかすると製品がマズいのかな?」などと考えるでしょう。

原因は「製品か・製品以外か」いずれかに必ず含まれます。
この先は、少し難しくなりますが、更に、例えば、

  • 製品に原因がある
    • 顧客の求める仕様に合わない
    • 価格が高い
    • 品質が良くない
  • 製品以外に原因がある
    • 企業ブランド・信用度の低下
    • 販売力の劣化
    • プロモーションの弱体化
    • 製品供給力の低下

という具合に階層化しながらフレームワークを作成して、例えば4階層目の合計7つの枠組みそれぞれについて、原因の可能性の有無を具体的な調査で裏付けて、事実と一致するものを原因として特定するといったことを実施するわけです。以下の表の第1~第4階層と記載している部分がフレームワークに相当します。

第1階層 第2階層 第3階層 第4階層 原因の可能性
ある商品が計画通りに売れない 計画が過大だった
計画は過大ではなかった 製品に原因がある 顧客の求める仕様に合わない
価格が高い
品質が良くない
製品以外に原因がある 企業ブランド・信用度の低下
販売力の劣化
プロモーションの弱体化
製品供給力の低下

かくして、顧客からのクレーム状況やヒアリング調査、販売チャネル調査等を実施し、具体的に原因を裏付けるような事柄、例えば、多くの顧客の声として「貴社の製品、魅力的なんだけれど、価格が高くて買えない」とか「もっと価格が安ければすぐにでも欲しい」といった事実情報が収集できたとしましょう。

他の原因の裏付けとなる情報を確認して、それらが否定されたならば、「製品に原因がある、価格が高い」ことが原因であるという仮説に到達することになります。

ここまでの「原因を抽出する過程」で、フレームワークを段階的に活用して、原因を抽出する枠組みを絞り込んで行くことによって、より具体的な原因を抽出しやすくして進めていることがおわかりいただけたと思います。

2)解決策を案出する

「製品価格が高すぎる」という原因が検証できたら、今度は、その原因を解消すること、すなわち「製品価格を下げる」ことにより解決できるわけです。そこで「製品価格を下げる解決策を案出する」ことになりますが、その際にもフレームワークを作成して考えます。

製品価格を下げる、例えば、

  • 製品原価を下げる
  • 間接費を下げる

といった、ここでは2つの枠組みから成るフレームワークを作成します。更に、

  • 製品原価を下げる
    • 原材料費を下げる
    • 組立て調整費を下げる
  • 間接費を下げる
    • 間接経費を下げる
    • 物流費を下げる
    • 販促費を下げる
    • アフターサービス費を下げる
    • その他

などと、順次、段階的にフレームワークを作成し、具体的に実現可能性のある枠組みの具体策を検討して、どの程度価格を下げることができるのか、他への悪影響がないかなど検証を行い、目標値を達成する解決策を特定化して行きます。

原因抽出の際と同様に、ここまでの「解決策を案出する過程」で、フレームワークを段階的に活用して、解決策を案出するための枠組みを絞り込んで行くことによって、より具体的な解決策を案出しやすくして進めていることにお気づきいただけたと思います。

3)フレームワークを使って思考する

以上のように、何かの原因を探る、あるいは、解決策を考えるといった際にはフレームワークを作成して、分割した枠組みを使って、その中身を考えるという具合に進めてきたことをご理解いただけたと思います。

最初は、単に「原因はどのような事柄なのか?」とか「価格を下げるにはどのような可能性があるか?」といった問に答える必要がありました。しかし、これでは、検討範囲が広すぎて、的が明確でないために思考が発散してしまいます。

そこで、次に、「商品が計画通り売れない原因として、製品に原因があるとしたら、原因はどのような事柄なのか?」とか、「原材料費を下げることによって、価格を下げるにはどのような可能性があるか?」といった問に答えるという形態に、的を絞って検討できるように一歩進めました。

このようにすると、より明確な枠組みの範囲で検討可能になりますので、最初の段階より、思考が集中できることになります。目的に合わせて絞られた、より深い答えを出せるようになるわけです。

このように、フレームワークの存在がターゲットを明確に絞り、思考の質を上げて考えることになるという特徴などがあることから、フレームワークを使って考えることを「フレームワーク思考」と呼んでいます。

4)フレームワーク思考で問題解決する

「問題解決」には、通常2つのステップがあります。

  • 前段(問題の設定):課題形成というステップ
  • 後段(問題の解決):課題の解決策を案出・選定して実施し、解決を図るステップ

前段において、原因のある問題では原因を明らかにして、課題形成し、原因の無い問題(単に課題とも言える、例えば、製品の小型化とか、売上倍増など)では問題そのもので課題形成します。

ここで、キーとなることは前段の「原因を明らかにする」過程と後段の「課題の解決策を案出する」過程だとわかりますね。

「商品が計画通りに売れない」問題の例でおわかりのように、1)原因を明らかにすること、および2)解決策を案出することについて、それぞれフレームワークを作成しました。

このように問題解決においては、作成されたフレームワークを活用して、具体的な解決策を案出して行く(フレームワーク思考が役に立つ)ということがおわかりいただけたと思います。

4.フレームワークはロジックツリーと同じ

実務の場面で「問題解決」に取り組むには、問題の状況に応じたフレームワークを作成できなければ始まらないと申し上げました。

あなたがロジカルシンキングを学習された人であれば、ロジックツリー展開について理解されていることでしょう。実は、フレームワークを作成することはロジックツリー展開することと同じ意味なのです。

従って、状況に応じたロジックツリー展開を描くことができれば、適切なフレームワークを作成することができるということです。切り口に留意して、MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive:相互にダブリがなく,全体としてモレがない)にツリー展開できれば宜しいというわけですね。

5.問題解決のためのフレームワークを作成してみよう

それでは、試しに、次の演習問題に取り組んでみましょう。解答例をこのページの最後尾に載せておきますが、いきなり解答例を見てしまうのではなく、紙に書いて検討する・excelシートで完成させるなど、まず、自分の頭でゼロからお考えくださいね。

演習問題:東京エリアから大阪エリアへの陸路による、ありとあらゆる移動手段を抽出したい。目的に適したフレームワークを作成してください。
ただし、途中での移動手段の変更は含めないものとします。

まとめ

  • ビジネス・フレームワークを覚えておくことより、必要に応じて、適切な「フレームワーク」をゼロから作ることができることの方が格段に役に立つ。
  • フレームワークとは、ロジカルシンキングにより、物事を等価の関係を保ちつつ、目的に応じて複数に分割して、わかりやすく表現した枠組みである。
  • 「ロジカルシンキング」を学習していても、フレームワークを作成できなければ問題解決に取組めない。
  • 「ロジカルシンキング」で問題解決に取組む際にはフレームワーク思考が役に立つ。
  • フレームワークはロジックツリーと同じもの。
  • 演習問題で問題解決のためのフレームワーク例を作成してみよう。
演習問題解答例

解答例は、あくまでも1つのフレームワーク例に過ぎません。あなたはどのようなフレームワークを作成しましたか?

例えば、第2階層を「人力による・人力以外による」といった切り口でも、あるいは、「6時間未満で到着できる・6時間以上かければ到着できる」でも、要は「陸路で、ありとあらゆる移動手段が抽出し易い切り口のフレームワーク」を作成すれば宜しいのですよ。

実際に、フレームワーク思考で、各枠組みに沿って移動手段を考え出してみて、次々と移動手段が書き出せるようでしたら、妥当な解答だと評価できます。

いかがでしたか?下記、解答例より素晴らしい結果が得られましたでしょうか?

解答例:東京エリアから大阪エリアへの陸路による、ありとあらゆる移動手段の抽出
前提条件

  • 2つ以上の交通手段の組合せは除外する。
  • 途中での交通手段の変更は含めない。
第1階層 第2階層 第3階層 第4階層 第5階層 第6階層 第7階層 具体的手段
東京から大阪への移動手段 機械動力を用いる 鉄道による 電線を使った電車で 新幹線 のぞみ・ひかり・こだま グリーン
普通
在来線 寝台 グリーン・普通
非寝台 グリーン・普通
電線を使わない動力車で 化石燃料を使った動力車で 汽車(蒸気機関車)、ディーゼル車、燃料電池車
その他の燃料を使った動力車で 原子力車?
鉄道によらない 道路による 高速道路で 4輪以上の自動車 公共の乗り物で バス
トラック便
タクシー・ハイヤー
非公共の乗り物で 自家用車
その他自動車?
4輪未満の自動車 3輪自動車
2輪車 オートバイ
一般道路で 4輪以上の自動車 公共の乗り物で バス
トラック便
タクシー・ハイヤー
非公共の乗り物で 自家用車
その他自動車:電動シニアカー・車椅子など
4輪未満の自動車 3輪自動車 オートバイ
2輪車 電動自転車・バイク
道路によらない キャタピラー車 戦車
ブルトーザー
山岳用途バイク 山岳バイク
機械動力を用いない 自然の力で 風力で 陸上ヨット
太陽熱で
動物の力で 人間の力で 自分の力で 道具を使って 自転車
3輪車・車椅子
一輪車
スケーター・スケボー
竹馬
道具を使わずに 徒歩
走行
逆立ち歩行
自分以外の人間の力で 道具を使って 人力車
自転車(後ろに乗って)
かご
ベビーカー
リヤカー
車椅子
道具を使わずに おんぶ・だっこ
人間以外の動物の力で 道具を使う 動物が牽引する 車で 馬車
牛車
車以外で 犬ぞり・トナカイそり
道具を使わない 動物が牽引しない 動物に跨って 馬、牛、象、らくだ、だちょう、ロバ

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