これからの時代、ロジカルシンキング(論理的思考)ができないと少なくとも頭脳労働が関係する仕事では通用しないと言われています。しかし、大人になってから身につけるのでは間に合いそうもありません。

このページを開いた、あなたは、お子様には「どうしたらロジカルシンキング(論理的思考)を身につけさせられるか」について関心をお持ちですね。

それでは、今という時代背景とともに、ロジカルシンキングの必要性を理解し、ロジカルシンキングの簡単な例題を眺めながら、子供にはどう教育したら良いのか、本を使うとしたらどのような本がおすすめなのか、ご紹介しましょう。

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1.21世紀の日本には必須のロジカルシンキング(論理的思考)

欧米先進国で経営支援に携わったコンサルタント達は、口をそろえてこう言います。

「欧米企業幹部の人達は、課題解決の場面ではごく普通に現状を分析し、論理的な思考に基づいて取り組み始めるが、日本企業幹部の場合は、事実に基づいた現状分析をしないまま、自己の体験から思いついた解決策に取組もうとする傾向がある。」

問題の生じている原因を間違って特定化する、以前の成功経験や勘で解決しようとするなど論理的な裏付けを欠き、その結果、失敗するケースが多いということです。それでも、以前の日本企業であれば、必死の努力で、技術や製品を緻密に磨き上げることによって、競争力を維持して来ることができました。

しかし、現在、単なるモノづくりでは、新興国企業に先を越され、更に技術面でも追い上げられており、日本企業は、技術開発・サービス等の業務を効率化し、商品の質を更に向上し、ゼロから新たな価値を創り出す必要に迫られています。

そのために企業幹部に限らず、頭を使わないで済む人以外の誰にとっても、ロジカルシンキング(論理的思考)の習得が必須要件となっているのです。

2.子供たちの学校ではロジカルシンキングの授業がない!

それほど重要なら義務教育で教えれば良いと思いませんか。

しかし、それが容易なことではありません。小学校、中学校は勿論、高校、大学でさえ「ロジカルシンキング(論理的思考)」を学ぶための教育カリキュラムは存在しないというのが実態です。

「ロジカルシンキング(論理的思考)」は算数や数学でもなく、国語とも違いますので、該当する授業がないのです。学校というところに、現に存在しない授業を新たに導入することが、如何に難しいことか、少し考えてみればわかりますよね。当分の間、少なくとも公立の小中学校には期待できないと想像できますね。

実際、今年も全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が小学校では6年生、中学校では3年生を対象に国語、算数・数学、理科で実施されましたが、正に「ロジカルシンキング(論理的思考)」の問題に該当すると言えるような典型的な問題は見当たりませんでした。

3.急がば回れ!簡単な例題で基盤となる力を育み、一歩ずつ!

では、どうしたら良いのでしょうか。

本当は、日常生活の中で子供の時から時間をかけて一歩一歩身につけて行くことが望ましいと思います。ロジカルシンキング(論理的思考)というのは、本来は、現実の世界と触れ合う過程を通じて、自然に身について行くものです。

多くの子供たちにロジカルシンキングが身について行かないのは、実際には、外界のさまざまな動物や植物との密な触れ合いや親・友達との豊かな会話の機会が乏しいからでしょう。

しかし、時間はかかりますが、あなたが少しでも「何とかしたい」と思えば、決して難しいことではありませんので、大抵の子供なら誰でも身につけることができます。

どうしたら良いかについて説明する前に、ロジカルシンキング(論理的思考)力を育成するための最も基盤となることについて触れておきましょう。

言葉としては難しいかもしれませんが、それは「概念を形成する力」です。子供達には最初にその力を磨くことを中心に育成することが近道となります。

1)「概念を形成する力」とは?

では、「概念を形成する力」とはどのような力なのでしょうか。

まず、その前に「概念」というのは、「同類のものに共通するもの、その考え」を指します。つまり「概念を形成する」とは、「同類のものに共通する事柄を具体化する」ということになります。

従って、「概念を形成する力」とは、「同類のものに共通する事柄を具体的に見出す力」ということになりますね。

具体的に例題を出題して説明しましよう。10秒ほど考えてみてください。

【簡単な例題】

目の前に、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマという5種類の動物がいます。それぞれは互いに異なりますが、共通する事柄を3つ以上挙げてください。

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【解答例】
これらの動物に共通する事柄は、

  • 哺乳動物である
  • 4本の足がある
  • 多くの体毛がある
  • しっぽがある
  • 目が2つある

などです。

あなたも、異なる5種類の動物の間で、共通する事柄を幾つも挙げることができましたね。

これは、5種類の動物を対象にして、「哺乳動物である」、「4本の足がある」、「多くの体毛がある」といった“共通点を具体的に見出した”、つまり“概念を形成した”ということになりますね。

「4本の足がある」といった“概念を形成した”時には、これらの動物の足の数だけを見る特殊なメガネをかけて見ていると捉えても宜しいでしょう。「しっぽがある」という“概念を形成した”時にはしっぽだけを見る特殊なメガネをかけて見たと理解しても宜しいと思います。

沢山の種類の特殊なメガネを持っている、あるいは他の人が持っていないような特殊なメガネを持っていることは、他の人には気づかない発見ができているわけですから、より多くの可能性を備えているとも言えます。

このように、「概念を形成する=異なるものどうしの間で、共通するものを見出す」ことができるようになることがロジカルシンキングを身につける出発点なのです。

2)概念形成力はロジカルシンキング(論理的思考)を支える中核能力!

こうした概念形成力は現実世界の物事を抽象化あるいは単純化したり、本質をあぶり出したりする能力そのものですから、ロジカルシンキング(論理的思考)において基本となる「帰納する(個々の具体的な事例から一般に通用するような原理・法則などを導き出す)」分野の中核能力として機能します。

詳しく知りたい方は、こちら(帰納法推論)をご覧ください。

また「異なるものどうしの間で、共通点を見出すことができる」ということは、その「共通点」を元にして分別できる、ということにもなります。
どういうことか、以下の例題で簡単に見てみましょう。

【簡単な例題】

目の前に、イヌ、ネコ、ウサギ、ハト、ニワトリという5種類の動物がいます。これらの動物について共通する事柄で2つのグループにわけてください。

【解答例】

  • 4本の足があるグループ:イヌ、ネコ、ウサギ
    • 2本の足があるグループ:ハト、ニワトリ
  • 十二支に含まれる動物のグループ:イヌ、ウサギ、ニワトリ
    • 十二支に含まれない動物のグループ:ネコ、ハト
  • くちばし・羽根を持たないグループ:イヌ、ネコ、ウサギ
    • くちばし・羽根を持つグループ:ハト、ニワトリ

こうしたことも容易にわかりますね。つまり、適当な概念を形成して、対象となる事柄をグループに分けることができます。

目的に合わせて、適当な概念を形成して、対象となる事柄をグループに分けることも、実は、ロジカルシンキング(論理的思考)において重要なロジックツリー(上位概念を下位の概念に論理的にツリー展開していく際に用いる思考のツール)の作成そのものに相当します。

詳しく知りたい方は、こちら(論理ツリーへの展開)をご覧ください。

その形成された概念が、ロジックツリーの枠組み(フレームワーク)となるものです。

対象となる事柄をMECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive:相互にダブリがなく、しかもモレがないよう)に分けることができるということですね。

詳しく知りたい方は、こちら(ロジックツリーの作成)をご覧ください。

3)普段の生活を通じた観察体験が大事!

長くなってしまいましたが、既にあなたもお気づきのように、子供には、普段の生活を通じて多くの物をじっくり観察する機会を体験させることが大事なのです。1度でなく、何度か、動物園に出かけて、様々な動物の様子を見て歩き、子供が飽きるまで、一緒に過ごすのも良いでしょう。水族館でも、植物園だっていいですよ。

子供は、その度に「ねえ。あれ、なあに?」、「どうして、動かないの?」、「何で・・・?」といった質問をするかもしれませんが、子供にとっては観察しながら反芻しているのですから、「うるさいね」などと言わずに、これぞ「ロジカルシンキング力を鍛えることに繋がるのだ」と考え、真面目につき合うことです。

「そんなの無理」というあなた! 子供と一緒に家でゲームをして遊ぶのも結構ですが、少なくとも、休日くらいは、子供のためにできるだけ多くの物を見たり触れたりという観察・接触の体験機会を作ることですね。

3.論理思考力を身につける!子供向けの本はズバリこの1冊!

基盤となる概念形成力の重要性がわかって、子供の時にはそれを磨けば良いと言われても、それだけではロジカルシンキングを体系的に身につけるためには心配になると思います。

塾に通いますか?ロジカルシンキングを学ぶ塾はどこにでもあるわけではありませんので、ごく限られた環境にある家庭を除いて難しいですね。

そこで、今ある何冊かの、子供向けと謳われているロジカルシンキングの本の中から、ズバリ1冊(2冊)を選んでお勧めする本をご紹介しておきましょう。

この本は2年ほど前に出版された本ですが、難関中学の受験を視野に入れるだけでなく、「将来に活きる学力」を養成するロジカルシンキングの育成を意図して運営している学習塾が制作しています。

本は、学習塾の授業方法を家庭学習用に再構成しているとの説明がありますが、例題毎に子供に理解させておきたいポイントを「おうちの方へ」というコメントで伝えるなど、良く考えられていると思います。

多くの子供がそうだと思いますが、初めてなら、小学校6年生であっても入門編から始めて宜しいと思います。どちらにも50問ずつの例題(解答つき)が載っています。どちらも、やはり、当然のように「概念を形成する」例題は最初の方に登場します。

それでは、入門編(入学準備~小学2年向け)と基礎編(小学1年~3年向け)で出題されている、それらの具体的な例題を見てみましょう。

一例ですが、入門編の上記例題のところでは、「おうちの方へ」の部分で、以下のようにコメントされています。

おうちの方へ「いろいろな基準でものを分けて発想を広げる」

人間は常識的な固定観念に縛られがちですが、そこから離れて新たな視点で物事を捉えようとすることで、発想に広がりが出てきます。いわゆる「水平思考」と呼ばれるプロセスです。この問題でも「色」や「飛ぶ」という概念を導入することによって、今までは全く違う種類のものだと捉えていたものを、同じ仲間として見ることができるようになります。発想を広げるための1つの方法は「基準を変える」ことなのです。

4.早速入手して子供の様子を見てみよう!

幸いなことに、この本には「おうちの方へ」のコメントが載せられていますので、例題が意図していることを参考にしながら、子供の様子には気を配って見ておきましょう。

比較的易しい本でありながら大事な事柄について、1つ1つの例題に取組んで体系的に進めるように構成されていますから、子供が、多少なりとも意欲的に取り組んでいるようであれば、ロジカルシンキングが身について行くと考えて宜しいと思います。

実際にこの本を子供が使っているという人の書き込みが幾つかありましたので、参考にしてみたらいかがでしょうか。

ロジカルキッズワーク入門編 – 『パパ』がログアウトしました
年中の長男にねだられて買った 「ロジカルキッズワーク 入門編」
ロジカルキッズワーク基礎編 – 教育ニクイねっ!

5.まとめ

  • これからの時代、ロジカルシンキング(論理的思考)は少なくともビジネスの分野では必須の常識!
  • 子供には家庭でロジカルシンキングを身につける手立てを講じる必要あり!
  • 子供にとって日常生活の中で多くの物を見たり、触ったりする体験を通して「概念を形成する力」を育むことが重要。
  • 子供が本でロジカルシンキングを身につけるには、基盤となる概念形成から一歩ずつ体系的に学べる「ロジカルキッズワーク」がおすすめ!
  • 例題の意図する事柄を参考に、子供の様子もウォッチしよう。

あなたの子供さんがどんな反応を示すのか、楽しみですね。

子供には親の苦労がなかなか伝わりませんから、拒絶反応を示されたらどうしようか?と悩んだりして(笑)。

もし、あなたが、今までも既に、お子さんを”本攻め”にしていたら、そういうことが起きるかもしれませんよー。

補足

子供が自分で好きだというのでしたら構いませんが、いきなり難しい本を選んで、大人が取り組んでも簡単にはわからない例題に取組ませても、大抵の子供には無理だと思った方が宜しいでしょう。

ロジカルシンキングの最も基盤となるところは、ロジカルシンキングの応用分野とも言えるプレゼンテーション、コミュニケーション、ディベート、問題解決でもなければ、勿論、トリッキーなクイズのようなものでもありません。

なお、ここでは「概念を形成する」力を取り上げて、ロジカルシンキング(論理的思考)において基本となる「帰納する」分野の中核能力について触れましたが、実は、他にもう1つ、ロジカルシンキング(論理的思考)の基本となる「演繹する」分野があるのですが、別の機会にご紹介しましょう。

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