ロジカルシンキング、例題問題と解答・答えのある例題集・本の活用法!

1. ロジカルシンキングを使える?

「研修でロジカルシンキングを学んだ。」、「ロジカルシンキングの本を一通り読んだ。」、しかし、「実際に仕事で使おうとしても、どう使ったら良いのかわからない」という人は大勢います。あるいは、とにかく学んだ「ロジカルシンキング」を使う練習問題に取り組んでみたいという人もいると思います。

あなたも「全く、その通り」、「何とかしたい」と感じているのではないでしょうか。「ロジカルシンキング」を学んだり、本を読んだりして「わかった」と思ってもさくさくと「使える」わけではありませんので、練習問題を試して確かめてみたいところですよね。

それでは、「ロジカルシンキング」を学びながら、あるいは学んだ後で、単なる「わかった」状態から「使える」状態へ進化させるには、どうしたら良いのかについて、一緒に考えてみましょう。

まずは、「ロジカルシンキング」の例題と解答・答えのある本や例題集、あるいはインターネットサイトの練習問題などに取り組み、自分の頭で解答・答えを考えるといったことを繰り返し、何度も使うことの必要性についての理解から共有して行きましょう。

その上で、あなたの今後の行動にプラスにしていただければ幸いです。
こちらも役に立つと思います。→戦略的なトレーニング方法で「ロジカルシンキング力」を身につけよう!

近年、比較的規模の大きな先進的企業など、新卒採用を拡大・強化している多くの企業では、新入社員研修および新入社員を教育・指導する若手社員やリーダー職に対する研修を強化していると言われています。

これらの企業内研修プログラムの中には高い確率で「ロジカルシンキング研修」(論理的思考研修)や問題解決研修といった「考える力」を養成する研修が含まれています。

中堅・中小企業においても人材育成、社員教育に対する意欲が高まっており、社員の積極的な外部研修への参加やe-ラーニングの受講によって「ロジカルシンキング」を学ぶ機会を増やしていると言われています。

1)研修の成果がなかったという指摘

多くの企業が熱心に人材育成に力を入れることは望ましいことですが、しばしば後になって、これらの研修は「成果がなかった」と問題指摘される傾向があります。大変残念なことですが、何故そのような結果になってしまうのでしょうか。

それは「ロジカルシンキング研修」のような、思考力を養成する目的で実施する研修についての理解が十分でないことに起因しています。「ロジカルシンキング」はWordやExcelを使うといった単なる操作スキルではありませんから、2,3日の研修では到底「使える」ようになるものではないのです。

2)「わかった」と「使える」の違い

「ロジカルシンキング」は研修に参加して「わかった」としても、たとえ本で学んで「理解した」としても「使える」わけではありません。「使える」ようにするには「わかった」上で、自分の頭で考え、苦労しながら何度も使う必要があるのです。

ところが、学んだばかりの「ロジカルシンキング」を直ぐに実務で使えるならば宜しいのですが、「ロジカルシンキング」を学んだ当初は、どう使えば良いのかわからないというのが普通です。それ以前に「ロジカルシンキング」は実務のどんな場面で使えるのかについてさえ、ピンと来ないものです。

2. ロジカルシンキング、使わなければ終わり

「ロジカルシンキング」(論理的思考)を本当に「使える」ようにするには、実務で何度も「ロジカルシンキングを使う」ことが理想です。最初はヘタクソでとても時間がかかると思いますが、あれこれといろいろ考え、四苦八苦しながら、実務の場面で何度も使えば宜しいのです。

ところが、研修から職場に戻った社員は、実務で「ロジカルシンキング」を使うための強制力が働かない限り、再び忙しい日常に振り回されて行くというのが実態ですね。

「ロジカルシンキング」を実務で使うという決意を胸に秘めて戻った社員でさえ、どう使えば良いのかわからないまま、日常に埋没して行きます。時には実際に使おうと試みるのですが、最初は無駄とも思われるほど時間が取られますので、適当な指導者がいなければ、大部分の人が、途中で挫折してしまうものです。

せっかく研修などで時間を割いて「ロジカルシンキング」を学んでも、そのまま使わずに時間が経ってしまうと、いつまでも「使える」ようにならないまま経過し、やがて「わかった」こともすっかり忘れ、手遅れになって失敗に終わります。

こうして、企業内では、ほんの一握りの「ロジカルシンキング」を自在に使える例外的な人材と対象者全員に研修を実施した記録だけが成果として残ることになります。これが多くの企業が実施している「ロジカルシンキング」研修の結末です。

3. ロジカルシンキングの例題問題に自分の頭で解答・答えを!

では「ロジカルシンキング」を実務で何度も使う、その代わりの方法について考えてみましょう。それは、誰でも考えつくことですが、いきなり本番=実務で使うのではなく、練習=例題問題に答えることを重ねて上達させるという方法です。

スポーツの場合を想定してみると良くわかると思います。スポーツ競技では、普段から毎日のように練習し、腕を磨いてから本番=試合に臨むという具合にしていますね。「わかった」だけで試合に臨むなんていうのはとうてい無茶な話ですよね。

本番で「使える」ように上達するための訓練・試練を積むには、「ロジカルシンキング」の本や例題集、インターネットサイトなどの例題問題に取り組み、自分の頭で解答・答えを考える、つまり「ロジカルシンキングを使う」ことを繰り返すわけですね。

1)15分野、最低でもそれぞれ10題の例題に取組む

手当たり次第に例題問題に取り組むよりは、優先順位をつけて「ロジカルシンキング」の、例えば下記のような分野毎に集中的に例題を選んで解答するという進め方が、自分の進度が自覚しやすくお勧めです。

  • 基礎
    • 命題(メッセージ)の作成
    • 演繹法
    • 帰納法
  • 論理ピラミッドの構築
    • 主張・説明論理の組立て
    • 主張・説明論理の構造解明
  • ロジックツリー展開
    • MECE
    • 次元
    • 課題分解の切り口
    • 問題の原因絞り込み
    • アイディア創出
    • フレームワーク
  • 論理の構造化
    • 因果関係の解明
    • 論理の組合せ
  • その他
    • フェルミ推定
    • ディベート・論証

例えば、最初の「基礎」の「命題(メッセージ)の作成」について10題の例題に取組みます。次に同じく「基礎」の「帰納法」について10題の例題に取り組む、という具合に進めると宜しいでしょう。

2)「ロジカルシンキング」の本・例題集の例題問題に取り組む

では、具体的な例題をどんなところから選べば宜しいのでしょうか。やはり、電子書籍より頭に入りやすいと言われている紙に書かれた本は優先順位の高い選択肢となります。「ロジカルシンキング」の本には、例題が載せられている本(これが意外に少ない!)とそうでない本がありますが、練習目的には、少なくとも、例題が載せられている本を選びましょう。

筆者の手元にある、子供向け以外のロジカルシンキング(論理的思考)関連書籍14冊の範囲では、下記には例題または練習問題が載せられています。(但し、単に章の内容を振り返って「~は何ですか」といった“練習問題”や合計10題に満たない書籍は除外しています。)

なお、ロジカルシンキング(論理的思考)というのは、比較的普遍性の高い思考法ですので、内容を訂正した改訂版が発行されていなければ、書籍の発行年度にはあまりこだわらなくてもよろしいと思います。

実践ロジカル・シンキング入門―日本語論理トレーニング

本書「実践ロジカル・シンキング入門」はテキストの中で、ロジカルシンキングの講義において計52題の例題を使いながら進め、更に合計93題の関連練習問題を載せており、いわば解説付き例題集とも言えます。特に演繹論理や論証分野の理解を深めてくれる例題と練習問題が充実しています。

一般の人には見慣れない記号論理などが多く登場しますが、クスっと笑いたくなるような練習問題があり、勉強しながら結構楽しめます。対象分野は限定されますが、下記「論理トレーニング」もほぼ同じです。

新版 論理トレーニング (哲学教科書シリーズ)

本書「論理トレーニング101題」は、論理に関連する5章に分けた説明の中で合計96問が例題的に使われており、加えて各章末毎の合計101題の練習問題とその解答を載せるという徹底ぶり。まさに本格的な例題集と言えます。

文章表現をはじめ、基礎「命題、演繹法」と論理ピラミッドの構築「主張or説明論理の組立て」、論理の構造化「論理の組合せ」、その他「ディベート・論証」分野で有用です。

ワンランク上を目指すためのロジカルシンキング トレーニング77

本書「ロジカルシンキング トレーニング77」にはタイトルの通り77題の問題が載っています。必ずしも必然的とは言えない暗黙的知識を前提としている解答が含まれるなど、ロジカルな人には納得が行かない問題も散見されますが、ほぼ全分野をカバーしている例題集です。

実践ロジカルシンキング―ビジネスで成果を上げる本当に使える思考法

本書「実戦ロジカルシンキング」は7章にわけて書かれており、章・節ごとの説明とともに合計38題の演習問題が載っています。演習問題は、各節の説明に対応して出題されていますので、練習問題だけを載せた例題集より取組み易いでしょう。

ロジカル・シンキングの道具箱

本書「ロジカル・シンキングの道具箱」は、タイトルの前に『30の「勝負場面」で使いこなす』という修飾語がついており、その呼び名の通り30種のロジカルシンキングのツールそれぞれの説明に対応した例題が30題載っています。基礎部分はほぼゼロですが、全体に比較的わかりやすい本で、本サイトの他の記事では、基礎を学んだ後であればという前提で推奨しています。

改訂3版 グロービスMBAクリティカル・シンキング (グロービスMBAシリーズ)

本書「MBAクリティカル・シンキング」は、論理学者出身でない、どちらかと言えばコンサルタント系の複数の講師陣がまとめた本ですが、基礎部分が比較的充実しており、ロジカルシンキングを学ぶための参考書として推奨しています。練習問題も合計56題ほど載せられています。

なお、ロジカルシンキングの練習問題は、一般論としては、典型的な演繹推論のように「これが正解」と明確に言えるとは限らないのですが、出題者の意図は、それでも、できるだけ「これが、より妥当な答えだ」と言えるような問題を設定しているとお考えいただいた方が宜しいと思います。

4. 「ロジカルシンキング」関連サイトの例題問題に取り組む

紙の本ではなく、インターネット上の情報の活用によって、「ロジカルシンキング」の例題に取り組むという方法もあります。

1)電子書籍はどうか

目下、IT時代であり、幾つかの「ロジカルシンキング」の本も電子書籍で活用することができます。

ただし、ロジカルシンキングの本を「電子書籍で読む」までは構わないと思いますが、さすがに、練習問題をパソコン、スマホ上で見て解くだけ(書かない)というのは、少しばかり抵抗があります。やはり、頭で考え、手を動かして書くという動作によって、思考が新たに更新・蓄積されて行くように思います。

2)インターネットサイトはどうか

電子書籍ではなく、インターネットサイトを活用することも可能です。いろいろありますね。

どのサイトの例題・練習問題に取り組んだら良いのか迷うと思いますが、インターネットサイトの場合は、付け焼刃的なサイトやコピペサイトも沢山ありますので、できるだけ下記のような「ロジカルシンキング」に特化していると考えられるサイトの問題を選んだ方が宜しいでしょう。

例えば、

ロジカルシンキングの例題10選|解答例や学習方法を紹介
【ロジカルシンキングの例題】論理的思考が身に付く練習問題も紹介

当サイトでも解説とともに40題余りの練習問題を載せていますので、ご活用いただければ幸いです。

インターネットサイトを利用する場合も、自分が身につくと思う方法であれば、試してみても宜しいと思いますが、やはり、直ぐに解答・答えを見るというのではなく、多少の時間がかかっても、自分の頭で考えて解答・答えを紙の上に書いてから、確認することをお勧めします。

3)有料サイトもある

有料サイトを使う場合、いろいろメリットがあります。

A.利用者サイド:真剣になる?

  • 必ず、頭を使って解答を書く(orキーボードで入力する)
  • 従って、深く身について行く確率が高い

B.サイト運営者サイド:いい加減なことができない

  • 問題が相応に練られている
  • 利用者の解答にフィードバックがかかる
  • 解答が相応に充実している

検討してみる価値が十分あると思います。ただ、残念ですが、筆者が検索して調査した範囲では、ロジカルシンキング全般に関して責任を持ってお勧めできるサイトが見当たりませんでした。

5. すぐに「ロジカルシンキング」の例題に取り組もう

幾つかの選択肢を紹介させていただきました。選択肢が多すぎて、返って困ってしまうことがないようにと心がけたつもりですが、あなたのお役に立つことができたでしょうか。

あなたが「ロジカルシンキング」研修を受講しただけで、まだ書籍では勉強していないというのでしたら、まずは書籍を通読しながら例題に取り組むことがベターだと思います。その後に、他の本などで不足と思われる練習問題にチャレンジすると宜しいでしょう。

既に書籍で学んだという場合には、その書籍に練習問題が載っていたら、すべての問題に取り組むこと、練習問題が不足でしたら、更に、上記選択肢をご自分でも調べた上で、自分に最も適していると感じたものを活用すれば宜しいのではないでしょうか。

実務との関連で検討することも宜しいと思います。例えば、実務で、今まさにロジックツリーを作成する必要があるという状況であれば、「ロジックツリー」、「MECE」、「次元」、「切り口」といったことに関する例題が載っている書籍(上記で言えば、最後の2冊)や関連サイトで集中的に各練習問題10題程度ずつでトレーニングするということもおすすめです。

こうして、都度、実務において必要性を検討しながら、分野を特定し、例題に取り組むことを繰り返してトレーニングするという方法もお考えいただきたいと思います。

まとめ

「ロジカルシンキング」を学びながら、あるいは学んだ後で、単なる「わかった」状態から「使える」状態へ進化させるには、どうしたら良いかについて一緒に考えてみました。

  • 「ロジカルシンキング」は「わかった」上で、自分の頭で考え、苦労しながら何度も使わなくては「使える」ようにならない。
  • 「ロジカルシンキング」は、使わなければ、時間が経ってしまうとやがて「使えないまま」で終わる。
  • 「ロジカルシンキング」をすぐに実務で使えないなら、「ロジカルシンキング」の例題に取り組み、自分の頭で解答・答えを書き、確かめることを繰り返す訓練をする。
    • 「ロジカルシンキング」の分野毎に集中的に例題を選んで解答する。
    • 例題、練習問題が載っている例題集や本がある。
  • 「ロジカルシンキング」の例題はインターネットサイトにもある。
    • 「ロジカルシンキング」に特化していると考えられるサイトの問題を選ぶ。
    • 有料の「ロジカルシンキング」訓練サイトは利用価値がある。
  • 実務との関連で「ロジカルシンキング」の分野を特定して集中的に例題に取り組むことも視野に入れ、直ぐに始めよう。

補足

今回、ロジカルシンキングの本にはどの程度の練習問題が載せられているかについて、改めて調べてみました。子供向けの本は別ですが、意外なことに練習問題が載せられている本は少数派でした。

その理由は、ページ数という制約があることによるのかも知れませんが、簡単なものはともかく、ロジカルシンキングの練習問題というのは、作成すること自体に手間がかかり、論理的観点から細心の注意を要することに起因しているように感じます。

実務課題においては、妥当な解というものは1つに限らず、しかも、その妥当性もさほど確度が高いとは言えない場合が多いものです。一方、練習問題は、大抵「これが正解」という解答・答えを求められますので、設定が不自然にならないように配慮するのに骨が折れるのです。

但し、練習問題が載っていない本が良くないというわけではなく、優れた書籍もありますので、どうか誤解なされませんように!